作品紹介
初期の作品
劇団角笛は昭和38年(1963年)8月15日に創立しましたが、公演活動は翌月の9月19日千葉県、市川市での公演が正式な第一日目となっております。その日を皮切りに現在まで8000日近い公演日を数えております。
「ごんぎつね」「つのぶえのうた」「巨人フィンの冒険」の3本構成で始まった『角笛シルエット劇場』ですが、決して順風満帆と言うわけではなかった様です。
一本目の「ごんぎつね」でしっとりとしたお話を上演し、2本目の童謡メドレー(クックちゃんが曲をつなぐので正式にはメドレーではないが)「つのぶえのうた」では影絵で楽しく童謡を表現し、会場の子ども達の歌声が会場に響き渡る。ここまでは思惑通りと言うか上演が上手く行ったと言うところだったようです。
「巨人フィンの冒険」は3本目、トリを飾る楽しい作品と角笛オリジナルの特に力を入れた作品でした。当時、角笛を始めたメンバーは殆どが人形劇より生身の舞台の関係者が多く舞台転換やお芝居の流れが影絵に合わなかったで、初演後ほぼ一週間で台本を書き直し改訂版で上演を続けたと言う逸話が残っております。
巨人フィンの冒険
フィンランドのある村に大きな体の「フィン」と言う大男が住んでいました。森の巨人は人間を食べてしまうという伝説で近寄る人がいないので動物達の天国でした。
小さな森の妖精、ピルトもフィンの友達の一人です。
動物達と仲良く平和に暮らしていたフィンの森へ猟銃を持った人間達がやって来ます。ピルトは化けるのが上手で一度は追い返すのですが・・・。
心のやさしい村の人々がフィンは大男なだけで悪い事はしないとわかると、銃を持った人間達から助けてくれるのですが、悪い人間達は森に火を放ってしまうのです・・・。
作・演出 久野 春光(さねとう あきら)北欧民話をベースに書き下ろした劇団角笛のオリジナル作品。
影絵 まゆずみ しずお
作品紹介
創成期から現代へ
角笛シルエット劇場の第一回作品として「ごんぎつね」が取り上げられ、同タイトルで何度もその時々に合った作品に作り直されてきました。
「ごんぎつね」の初演は昭和38年(1963年)に小松方正さんのナレーションで始まりました。その後、宮城まり子さんの語りと歌で同一タイトルの別バージョンを制作致しました。初期の頃は幼児対象を謳っていても内容は小学生向けだったのかも知れませんが、幼児には難しいとの声があったようでした。
「ごんぎつね」に関しては制作側の大人がそう『思いこんだ』ふしもあります。
当時はお金を頂く以上作品は長い時間と言う思いもあったようですが、それはかえって幼児に飽きさせ、それを見ている大人が『難しい』と感じる原因になったのだと思います。
『思いこみ』から暫く上演されなかった「ごんぎつね」ですが、台本から洗い直せば内容は幼児にも十分理解される作品と確信していた2代目代表は平成4年に音楽のベースはそのままに台詞の単語や言い回しを幼児に分かりやすく書きなをし今のかたちになりました。
創立者の息子である2代目代表は子どもの頃、両親が公演のために地方に出ていることが多く祖母や親戚が面倒を見てくれていました。「ごんぎつね」はみなしごのいたずらキツネのお話ですが、彼は「ごん」に自分を投影させて観ていたと話しています。丁度彼が6歳の頃劇団がこの作品を持って全国を回り始めた頃です。
現代表は語ります「共働きが多く保育園に預けられ私の時より長時間保育される子ども達が親と離れて『ごん』の様に寂しさを感じていないわけはない。絶対に共感され、受け入れてもらえるはずだ。」
市原 悦子さんで声の出演を取り直した「ごんぎつね」は平成に入り2回の再演を行っております。
ごんぎつね
権現山と言う山のふもとに『ごん』と呼ばれるいたずらな子ギツネが住んでいました。ごんは村に出て行っては畑を荒らしたりニワトリを追いかけたりといたずらが大好きです。ある日、猟師の兵十(ひょうじゅう)が川でウナギを捕っているところに出会います。
ごんは鉄砲を持っている兵十が嫌いなのでいたずらがしたくなり魚を逃がしてしまうのですが・・・。
愛知の生んだ日本を代表する童話作家、新美 南吉の自伝的作品。ごんが罪ほろぼしのためにつくす兵十は南吉が母に対する思いとも、恋人に対する思いとも言われています。
作・演出 久野 春光(さねとう あきら)初期作品 声の出演 小松方正 二回目作品 声の出演 宮城 まり子 三回目作品 声の出演 市原 悦子 音楽は全作品とも 渡辺 岳夫 三回目の脚本は山上 路夫 演出 忠隈 昌
影絵 まゆずみ しずお