すてきな3にんぐみ
大泥棒の3人組とみなしごティファニーちゃんの心温まる世界。
泥棒が主人公なんて良くない!なんて思わないで、子ども達から”居場所”を奪った大人達の象徴なんですから。
むかし、あるところに人々に恐れられた大泥棒の3人組がいました。得意な道具は’大まさかり’、’ラッパ銃’と’コショウふりかけ’と少し間抜けな道具でしたが、月のない暗い夜、馬車を襲っては宝物を集めておりました。
ある晩、3人組はいつもの様に馬車を襲うのですが、その馬車には宝物はなく、女の子の”ティファニーちゃん”でした。3人組は困りはてるのですが…。
原作者、トミー・アンゲラーの娘さんに捧げた作品。
当時、アメリカに渡った原作者が娘さんをモデルにして書いた作品と絵本の巻末には書かれております。
40年以上もたった今でも読み継がれているのは子どもへのあふれる愛情で書かれた作品だからでは無いでしょうか?
まだ子どもであった彼自身、第二次大戦を体験し荒廃した国土にあふれる孤児達を目の当たりにしたのだと思います。その様な国土にした大人達に疑問を持ち、その象徴が3人組の泥棒達なのでしょう。大人の象徴は最後に国中の孤児達を集めて村を作ります。作者の子ども達への強い思いを感じます。
1975年に初演された頃、泥棒が主人公であるという理由でご批判を頂いたこともあります。それを理由に長い間、再演されることはありませんでしたが、長く読み継がれている絵本なので再演に踏み切りました。再演に際し録音し直すことになりましたが、録音の際に声の出演の宮城まり子さんが「国中に」を「世界中に」とスタジオで言い換えられました。後日、訳の今江祥智先生から、「訳を勝手に変えられては困る!」とお叱りの電話が入りました。「宮城さんがアドリブで変えられたのです」とお話しすると、「まり子さんじゃあしょうがないな」と苦笑するように電話を切られた、と言うエピソードがあります。
原作
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トミー・アンゲラー(ウンゲラー)
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脚本
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杉井 ギサブロー
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演出
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まゆずみ しずお
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音楽
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宇野 誠一郎
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声の出演
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宮城 まり子
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